人口統計の状況
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クロアチアの国土面積はベルギーの約2倍であるが、人口は390万人(2021 年国勢調査)で、ベルギーの人口のほぼ3分の1しかいない。欧州連合の加盟国の中では、クロアチアは面積では、リトアニアとスロバキアの間の18位で、人口の面ではアイルランドとリトアニアの間の20位を占めている。
過去160年、いくつかの要因が人口開発に影響を与えてきた。その中で最も重要なのは、常態化し時おり激しくなるヨーロッパや他の海外の国への移住、二度の世界大戦と祖国戦争である。
その期間(1857年–2021年)にクロアチアの人口は2倍になったが、その増加率は他の国と比較すると低い(例えば、同時期にオランダの人口は5.3倍に増加した)。人口は概して増加しており、特に19世紀末には自然増減の増加傾向が顕著になり人口転換の第一段階に入った。しかし、20世紀初頭には移住が激しくなり、人口増加率が低下し、第一次世界大戦の勃発とスペインかぜの流行により最初の人口減少が起こった。1920年代に若干回復した後、再び戦争が起こり、人口は二度目の減少となった。1960年代から1980年代にかけての人口増加の減速は、出生率の低下に直接関連した自然増減の減少と「期間業務」のための海外へのおびただしい移住によってもたらされた。このような状況の中で、クロアチアの人口は急速な人口転換を経た。1980年代の終わりには、経済発展の速度とは完全にずれが生じ、自然増減率は低く推移した。このように人口基盤(特に生殖年齢人口)が弱まった状態を背景に、クロアチアは1990年代に再び戦争と戦争後の不安定な生活条件に直面し、その結果として20世紀から2 1 世紀への変わり目には三度目の人口減少となった。この減少はクロアチアが欧州連合に加盟した後に見られる、主にドイツ、アイルランドとオーストリアへの移住によってさらに激しくなっている。2021 年の国勢調査によると、クロアチアには390万人が住んでおり、人口密度は68人/ km²である。



長期的な人口減少は、新しい世代を生み出す中核人口の減少、生産年齢人口の減少、高齢者の介護需要の増加、すなわち高齢者の年金保険、社会福祉・健康管理などの分野での国家予算に対する経済的・社会福祉的負担の増加など、多くの負の影響をもたらした。
人口減少は別として、クロアチアの現代の人口統計は欧州連合の他の加盟国のそれによく類似している。高齢化、自然減少、人口の地域的二極化の過程も特徴的であり、近年では主にEUの加盟国ではない国(ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、コソボ)やアジア諸国(ネパール、インド、フィリピン)からの外国人労働者の移住も見られる。
2024年までの欧州連合の戦略プログラムにはクロアチアの人口動態の復興に関する請求が含まれていた。また、2019年から2024年までクロアチアの欧州議会議員ドゥブラヴカ・シュイツァ氏が、欧州委員会の民主主義と人口動態の副委員長として任期を務めていた。クロアチアは2023年に2033年までの包括的な「人口動態復興戦略」を採用した。
平均寿命は女性81歳、男性75歳に延び、既に急速な高齢化が更に加速している。約60年前は30.7 歳だった平均年齢は44.3歳に上昇した。クロアチアの人口のほぼ4 分の1(22 %)は6 5 歳以上であるが、50年前は12%であった。また、1960年代初頭に人口の27%を占めていた小学生年齢の人口は現在1 4%にしかなっていない。自然減、すなわち死亡者数が出生者数を上回る状態、合計特殊出生率の減少(1.5)が高齢化の過程に密接に繋がっていることからも、クロアチアは他のヨーロッパ諸国と同様といえる。
その-6.8‰という自然減は、クロアチアの他の人口動態の推移と同様に、数十年前に遡る。出生率は1950年代から絶えず低下し、死亡率は1990年代の戦争による死亡率上昇を含む1970年代からの上昇が進み、その結果として自然増減は負の値を示している。